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スタッフコラム

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スタッフ全員で綴る連載コラム

Vol.68

2011年06月01日

有賀 慶奈 <助産師>
気持ちを切り替えてみる
 

東日本大震災から3ヶ月が経とうとしています。
被災者の方々には心よりお見舞い申し上げますと共に、一日も早く復興されることを願うばかりです。
震災後しばらくは、不自由なく日常を送っていることに申し訳なさを感じ、何もできないことにもどかしさを感じていました。
しかし、テレビで震災を乗り越え生まれてきてくれた赤ちゃんを見たとき、どんな状況であっても赤ちゃんは生まれてこられる力を持っているんだと、その強さに感動しました。頑張って生まれてきてくれた赤ちゃん、頑張って産んでくれたお母さんに本当におめでとう、本当にありがとうと思いました。そのときから、私の気持ちが変わってきました。
私は幸い、妊婦さんや赤ちゃんと携わることができる職業についています。直接被災地の方々に何か支援できるわけではないけれど、これからの日本を支えてくれるであろう新しい命の誕生を、笑顔で迎え支えていきたい!そう思えるようになりました。当たり前に生活していることの罪悪感が、感謝の気持ちに切り替わっていった出来事でした。

気持ちを切り替えてみるという意味では、お産にも似た部分があるように思います。私は自分が妊娠したとき、嬉しい気持ちと同時に不安な気持ちになりました。まもなく始まった酷いつわりに心が折れかけ、助産師という職業のせいか、いろいろな妊娠・分娩経過を目の当たりにしていたので、“知っている怖さ”を感じていました。
しかし初めて感じた胎動で、私の不安は少しずつなくなりました。お産の痛さや怖さを知っていたのは“頭”であって、私の“身体”はまだ何にも知らなかったということに気付いたのです。いくら助産師であっても、妊娠して自分の身体に起こっていく変化は初めての体験ばかりです。妊婦さんのお腹に手を当てて、胎動を手で感じる経験はたくさんあっても、自分のお腹の中で感じる胎動はもちろん初めてで、なんとも言えない気持ちでいっぱいでした。「ああなったらどうしよう・・・」と頭で考えるより、妊婦生活の中で起こっていく身体の変化を、しっかり自分の身体で感じて、それを前向きに楽しもうと思えるようになりました。

ここで気持ちを切り替えることでうまくいったことをお話しようと思います。妊娠にはマイナートラブルもつきもので、私は腰痛に悩みました。しかし「痛い!」と嘆くよりも、「赤ちゃんが育っているんだから腰が痛くなるのは仕方ない。」と気持ちを切り替えました。そして、助産師としてアドバイスしてきた腰痛予防法を実際に自分で試しました。そうすると、この方法は妊婦さんには不評だったなぁ~・・・という方法が意外と自分の身体には合っていたことが分かったりしました。やっぱり頭と身体の感じ方は違うし、人によっての感じ方は違うんだと、助産師としても勉強させてもらえているような、嬉しい気持ちになりました。腰痛という不快症状が、最終的には嬉しい気持ちになってしまうなんて、なんだか不思議です。

そして私の不安の№1はやっぱり陣痛でした。文字で見ただけでも痛そうなイメージですよね。そこで私は陣痛を、「生まれたいっていう赤ちゃんからのメッセージ」と妊娠中ずっと、脳にインプットしてお産に臨みました。実際、陣痛は本当に痛くて必死でしたが、なぜか「早く次のメッセージ(陣痛)が来て欲しい!」と2分間歇の陣痛の中でも思っているほどでした。
また、「助産師さんだから冷静にお産できそう」という周囲の期待もあり、騒いだらどうしよう・・・と変なプライドもありましたが、それも妊娠中に「理性に任せる!自分らしいお産をしよう!」と気持ちを切り替えたことで、気楽にお産ができました。結果は、決して冷静沈着なお産ではなかったですが・・・気持ちよく出産できました。実際に「陣痛は気持ちよかった」という不思議な感覚を残して、出産を終えることができました。お産が気持ちいいという話はあまり聞いたことがないと思いますが、私は出産だけなら何回でも経験してもいいな・・・と思える体験となりました。

“気持ちを切り替える”と言っても、私の例では極端なように感じますが、マイナス思考をプラスに変えることは良いことだと思っています。例えばお産を体験した親や友人に「お産って痛かった?」と聞いて「痛かったよ!もう嫌だ!」と言われて臨むお産より、「お産で嬉しかったことは?」と聞いて「生まれてすぐに聞いた産声が嬉しかったよ!」と言われて臨むお産の方が、不安が少なくなると思いませんか?聞き方一つで大きな違いがあります。いい言葉をインプットして良いイメージを蓄積していくことも安産への第一歩かもしれません。安産かどうかは、誰が評価するものでもないので、自分自身で「良かった!」と思うことができれば、どんなお産でもそれは安産なのだと思います。皆様の安産をお祈りしながら、クリニックで笑顔いっぱいお待ちしています。

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