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スタッフコラム

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スタッフ全員で綴る連載コラム

Vol.26

2008年06月01日

林 ルリ子 <助産師>
無財の七施

2年前に淡路島の七福神巡りを経験しました。何か目的があったわけではありませんが、日常的に忙しく余裕がない毎日の繰り返しの中、気持ちだけでも穏やかに過ごすことが出来ないか・・・些細なことでもイライラし、言動もきつくなりがちだった私にとって何か惹かれるものがありました。

7つのお寺さんを順々に訪ねそれぞれの住職様の講話を聴きました。日常の慌しさを忘れさせてくれるゆっくりとした時間の中に自分が置かれていることが感じられました。ある住職様のお話から「無財の七施」の教えと出会うことになりました。

お布施というと金品を施す「財施」ばかりを考えがちですが、布施には善行をもって人と接し世知辛い現代社会なればこそ、人に接する慈しみ・思いやり・優しさの大切さについて諭しているこの教えを大切にしながら生きていかなくてはならないのだと思いました。これまでの自分を振り返りまた所業を改めていかねばならないと教えて頂いたのです。

「無財の七施」とは、誰にでもできるお布施でした。

1.眼施(げんせ)・・・眼による施し、優しいまなざしで接する行為
自分の心はまなざしによって伝わるもの・・・誤魔化しかきかない心の表れた優しい眼で接することが大切なのだと改めて自分自身の行為を振り返りました。

2.和顔施(わがんせ)・・・穏やかな温かい表情で接する行為
腹が立っている時に穏やかな顔を、落ち込んでいる時にも明るい表情をする事は大変なことですが、これを実践するには自己コントロールが必要であると学びました。

3.言辞施(ごんじせ)・・・愛のある言葉、思いやりのある言葉を与える行為
確かに、言葉というのはいくら立派な言葉であっても心がこもっていなければ素通りしてしまいます。一方で何気ない言葉で人を傷つけたり不快な思いをさせてしまう言葉を発していることがどれほどあったのだろうかと反省しました。

4.身施(しんせ)・・・損得を考えず、自分の心身で奉仕する行為
ひとりの大人として礼儀作法は充分であったのか反省しました。自分ができる事を精一杯行い役割を果たすこと、頼まれた事は快く応えていく姿勢が大切だと感じました。

5.心施(しんせ)・・・思いやりの心を持つこと、真心こめて行う行為
人のために心を配り、心底から共に喜び悲しむ、人の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心持ち、これこそがその時の私には欠けている事だと感じました。「私が、私が・・・」と自分本位で物事を捕らえ、解釈し親しい友や大切な家族の気持ちを考えずして接していた自分自身を恥じました。

6.床座施(しょうざせ)・・・座席を譲る行為
席を譲ることだけでなく、日常生活や仕事に置き換えれば、「相手が悔いなくあるいは快く仕事(行為)ができるようあえて役割を譲ること」だと私なりに解釈しました。

7.房舎施(ぼうしゃせ)・・・雨露をしのぐ場を与える行為
自分自身が多少犠牲になったとしても相手が辛くない環境・状況になるよう思いやりをもって接することだと学びました。

この七施は、どんなところからでもすぐにでも始められる、しかし簡単なようでも自分自身が変わらない限り実践できない、言い換えれば実践すれば自ずと自分が変えられる「自己改革の手引き」となりました。

「何故、私はここにいるのか。生まれてきた目的は何であろうか。」・・・こんなことをある時から疑問に思いながら生きてきた私でしたが、そんな時にその答えが見つかる教えの場に導いてくれたことに感謝しました。神様のお導きだったのだと思っています。

これからの私の生き方・目指すところがうっすらではありますが、見えてきた気がしました。

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