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スタッフコラム

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スタッフ全員で綴る連載コラム

Vol.204

2022年07月01日

芳賀 晶子 <助産師>
すべてのベクトル→は更年期に向く

 おかげさまで、この7月に当院は18周年を迎えました。開院当初に生まれた赤ちゃん達が、今年成人を迎えると思うと感慨深いとともに、自分も歳を取ったな…と痛感します。開院からしばらくは、たくさんの友人が出産に来てくれて、まるで同窓会のような楽しい日々。時を経て最近外来で会う友達は、もっぱら体調不良やがん検診。いつまでも若いつもりでいても、気付けばアラフィフ。体調の不具合があってググると、フローチャートのベクトルが行き着く先は“更年期”。更年期って都合のいい言葉だな、と思いつつ、自分自身にも確実に訪れる老化現象に一喜一憂する私の近況を少し。

『ほうれい線』コロナはうんざりだけど、マスク生活で救われているのが顔のしわ。ある日突然、頬が重力に負け始めて下がってきた。そんな時に当院に出入りしている医療メーカーさんが「美顔ローラー大幅値引きで~す」と営業に来た。スタッフみんなで飛びついて購入。「これを使えばほうれい線やら名前もわからない線が消える!」と信じて使用スタート。絶対続かない性格だと百も承知で買ったけど、家族に笑われながらも2週間は頑張った。でも案の定、あっという間に寝室のオブジェになった。それを見た息子のひと言。「Continuation is power!」は?日本人なので日本語でどうぞ。ねえ、みんな美顔ローラー使ってる?リタイヤしたの、私だけ?コロナが終息してもマスク生活、やめられないかも。

『白髪』私の父は、亡くなるまで白髪が1本もなかった。私と妹の髪質は、完全に父譲りで、短絡的な姉妹は「うちらは白髪は無縁だよね」とたかをくくっていたのに…白髪という毛髪を発見した時の衝撃はすごかった。慌てて抜きながら「あっ、白髪って抜くと増えるんだっけ?どうしよう、抜いちゃった~」都市伝説を信じて焦ってみたり、美容師さんに「白髪染めしてください」と言ったら「まだそのレベルではない」と一掃されたり。妹と2人、父の仏前で訴えた。「お父さん、話が違うじゃん。白髪出てきたじゃん!なんで?」   注:父は無罪です。

『老眼』点滴の準備をしながら「針先が見えない」と言う先輩、老眼鏡をかけてパソコン仕事をする先輩を横目に、私に限ってないな、と勝手に思い込んでいたら突然やってきた老眼。先輩、私も針先見えません…。子どもが「模試の結果!」と顔の前に紙を差し出してきた。まず褒めて、そのあとダメ出し!と意気込んで見てみるが、次の瞬間「…近すぎて見えないわっ」(怒) 何点なのか、何の模試なのかさっぱり見えない。老眼ってこんな感じなの?不安になって同期の助産師に聞いてみた。「ねえ、この字見える?」「見えない、見えない、コンタクトしてたら余計見えない!」「だよね~」内心めちゃめちゃホッとする。私だけじゃない❤ でも、「とりあえず試してみたら?」と夫に100均の老眼鏡を差し出された時は内心イラっとした(笑)書き物をしていると、「寝てるの?」と言われるほど顔を机にくっつけて書いていた私。最近言われなくなった。姿勢の悪さを今更直しているわけではなく、離して書かないと見えないからです…。老眼、恐るべし。          

『歯痛』1年前の春、奥歯が痛くなった。私にとって歯医者は世界で一番行きたくない場所。鎮痛剤でなんとかスルーしたいと願ったけど、痛い!娘に「歯医者さん、いい加減行きなよ。自分のためだよ。これ貸してあげるから。」と、アルパカのぬいぐるみを持たされて渋々受診。診察の結果は「虫歯もないし、更年期ですね。三叉神経って知ってます?そこからの痛みですね。そういうお年頃です。」へ~、更年期って歯も痛くなるんだ。そういえば、生理周期に合わせて痛くなる気がするし。虫歯じゃないんだ、通院しなくていいんだ、それが嬉しくて信じて疑わず、時々痛む歯を「お年頃」で片づけて鎮痛剤を頼って1年過ごした。そして今年の春、再び歯の激痛に襲われた。薬が効かない、食べられない、眠れない。半端ない痛みが四六時中。更年期って死闘だな、更年期って長いよな、いつまで続くのかな…。そんな痛みの中でも、お産の介助に入っている時間はピタッと痛くなくなり、「治った?」という錯覚に陥るほど。でも、無事に赤ちゃんが生まれると嘘みたいにぶり返す激痛。なんというプロフェッショナルな身体…。いよいよ、痛みの限界>歯医者嫌い、となり祝日の当番医へ駆け込んだ。「更年期の歯の痛みが限界です」と涙ながらに伝えると、歯医者さんは「あおぞらの助産師さん?こないだスタッフがお世話になったよ~」先生、サービストークいらないので一刻も早く楽にしてください(泣)口の中を一見した歯医者さんは「お~、よく育った虫歯だねえ。」野菜か何かですか?1年かけて育てたんですか?間髪入れすに麻酔→削る。歯医者嫌いの私は全身硬直、天井の模様が歪むほど一点をガン見し、ハンドタオルを握りしめ耐える。「これで痛みはなくなるよ」と先生の声がして正気に戻り、削られた歯を恐る恐る舌で触ると、奥歯が諏訪湖の初島レベルの小ささになっていた(汗)ホントによく育った虫歯だったんだな。って、更年期じゃなかったんか~いっ!フルマラソン後ばりに疲れ切ったけど、初島サイズの歯は全く痛くなくなり、「あの歯医者さんは神様だ…」嬉しくて泣きながら帰宅したとさ。何でも更年期のせいにしがちなお年頃だけど、セカンドオピニオン大事!嫌いだ怖いだと言わずにさっさと受診すること、身体の声を聴くこと、大事!

 スタッフと老化現象の話をしていたら、院長が言った言葉。「いろいろ出てくるけど、抗わずに受け入れると楽だよ。俺はそうしてる。」後光が差していた。

 娘がお友達と繰り広げるキラキラしたガールズトークとは打って変わって、ナースステーションの会話は、どこが痛い、健診結果がヤバい、あれが、それが、みたいな愁いを帯びた艶のある熟女トーク。そんな会話が、ここまで一緒に頑張ってきた私たちの歴史を物語っているようでなんとも愛おしい。              

 年月の経過だけはみんなに平等で、確実に年齢は重ねて行くけど、加齢による変化を少し抗いながらも受け入れて、ボディメンテも大切に、大好きな仲間と大好きな助産師の仕事を元気にいつまでも続けていきたいな、と思います。

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